タンデム自転車 試乗レポート1

皆さまからのクラファン資金で購入したタンデム自転車。
東京在住で視覚障がいをもつ野村耕一さんと、NPO活動法人サイクルボランティアジャパンの中西淳一さんに試乗していただきました。


それぞれ感想をいただいたので、ご紹介させてください。
まずは野村さんからいただいた「徳之島サイクリングレポ」です!

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 今回の徳之島旅は少し昭和の香りとちょっとアドベンチャーな旅でした。

 

 初日羽田についてサポートを必要とする人のカウンターに行くと奄美空港が天候不順のため飛行機が飛ばないかもしれませんといわれる。中西さんから伊丹発も同じ状況で心配して電話がくるがなるようにしかなりませんから行けるところまで行きましょうと返事。内心プチトラブルにちょっとわくわく。なにもおこらない旅はどんなきれいな景色見ても心に残らない。

 結局一時間くらい予定よりおくれて奄美空港に到着。中西さんと合流ご昼飯を食べてフェリー乗り場近くの宿へ。晩御飯は居酒屋へ。赤うるめ、夜光貝等どれも美味。

 11月6日は朝4時半に宿から歩いてフェリーの乗り場へ。

 フェリーに乗ると白杖持った私に気が付いた船員さんがすぐにバリアフリールームをどうぞと案内してくれる。雑魚寝部屋だけど車いすでも通りやすい幅の通路と段差のない部屋。フェリーのバリアフリー対応にちょっと感動。少しだけ大きく揺れた時もあったが徳之島に着岸。

 タラップの手すりを頼りにゆっくり下船。塩でべとべとの手すりが島旅を感じさせてくれる。飛行機でもたまにタラップを使っているときがあるがその方が日常から離れた気がして好きだ。

 

 迎えの車で事務所へ。その途中は登り坂しか走っていない気が・・・。しかも車がうなっている。ちょっと不安に。走れるか・・・。この会社では島のジャガイモを使ったコロッケを作っているとのこと。そのコロッケはひき肉も玉ねぎも入っていない。あとで食べさせてもらうがほんとうに美味。

 その後徳之島をパラスポーツの聖地にしようという佐多さんたちのクラウドファンディングで資金を集めて購入し、昨日やっと島に届いたというタンデム自転車KHSミラノのおいてある場所へ。近いうちにタンデム自転車のレンタルを事業として立ち上げる予定らしい。

 

 裏はすぐに海。佐多さんに聞くと昔は海にはいってタコを捕まえて食べたりしてたらしい。

その後家の裏に広げたテーブルで里さん、アドさんもっくわわって加わり昼食会。正直言うと5人以上初めての人が集まると視覚障碍者は頭の中が追い付かない。失礼な態度だったらごめんなさい。視覚障碍者は声で判断するから初めての人が多いと頭フル回転。

 

 昼食後自転車の最後の調整終了後いよいよ出発。先ほど車がうなるほどの登坂だったしみんなが坂きついからと脅すからかなり緊張。まずは世界遺産センターへ。今回はミラノというロードレーサーのタンデム自転車。その成果かのぼりがあまり苦にならない。中西さんに負担かけているだけかも。気が付くと世界遺産センターーに到着。 

 

 世界遺産センターで佐多さんたちと合流して少しセンター見学後まずはソテツトンネルを目指してサイクリング。大きなタイヤのタンデムは楽だ。そしてドロップハンドルは疲れにくい。ソテツトンネルはソテツがうっそうと生い茂っていて奄美群島しか見られない光景かもしれない。戦後の食糧難の時にはソテツを食べて食糧難を乗り切った歴史があると昔聞いたことがあった。

 

 そこからむしろ瀬という奇岩の光景が広がる場所へ。中西さんにどんな景色か説明してもらう。空気は間違いなく南国。波の音もする。視覚障碍者になって空気の違いには敏感になった。しかしのぼりか下りしかない。そこから尚子ロードを目指してペダリング。

 

 夜は波の音を子聞きながら焼肉。翌朝雨の音で目が覚める。アウトドアな旅に天候の問題は、つきもの。そんなときもあるさ。晴れで走りやすい中より記憶には残る。ハブにさえかまれなければ何とでもなる。スタート時点では雨は上がった模様。快適に走り出す。やはり平地がほとんどない。犬の門蓋、中西さんに景色を説明してもらう。空気がおいしいそこから犬田布岬へ。やっぱり平地がない。途中サトウキビ畑の間を縫足りなんとも南国らしいサイクリング。犬田布岬も奇岩が広がる岬。ここには戦艦ヤマトの慰霊碑がある。私の祖父は陸軍だったが沖縄に行く直前にあまりにも状況がわるくなり船が出航うできなかったときいたことがあったのでこんな碑を見るとなんか複雑な気分になることがある。そろそろ出発というときに結構な雨量の雨。屋根のある場所で雨宿り。島の天気は変わりやすい。いいように解すれば雨はそのうちやむ。

 

 30分くらいしたら雨は上がったので次のポイント300年のガジュマルへ。快適にサイクリング。頭の中でBEGINの曲がリピート南国にはよく合うリズム。しかしサイクリングの神様は楽はさせせてくれない。急激な雨。頭の中に流れていたBEGINがCCRの「雨をみたかい」にかわる。ちょっと古すぎる曲。たまたまちかくにあったバス停のような小屋で自転車ごと雨宿り。朝にいただいた黒糖のお菓子で小休止。しばらくして雨が止んだので出発。300年のガジュマル近くは結構な旧坂。でも今回はタイヤの大きなタンデム。だいぶきつさが違う。ガジュマル周辺に野原生林自体が300年以上前からのものと考えるとやはり自然は偉大だ。30分くらい続くスコールのような雨くらいで文句言っている場合じゃない。

 

 そこからは百菜という徳之島の物産が売っている場所へ。そこで佐多さんたちと合流してランチ。ランチ後近くの伊仙町役場へ。そこの休憩スペースの自販機では徳之島産のコーヒーが飲めるということで堪能。なかなか美味。コーヒー語れないがおいしい。

 

 ちょっと自転車のところに行っていた中西さんが戻ってくるなり捕まえてきたハブがいっぱいいるから見てみないかというのでついていくと生け捕りにされたハブが外のガラスで覆われた箱の中にいっぱいいるらしい。私の目でははっきり見えないが捕獲されてでかなり気が立っている模様。きゅうりと爬虫類が苦手な私は、見えなくてよかったかも。

 

 で、サイクリングですが空模様もはっきりしないし、時間も押してきているので軽トラに自転車を運んでもらい後は車で案内してもらうことに。のんびりするのも旅の醍醐味。次来た時にまた走ればいいよと言われる・・・。次来ること前提の会話らしい。そのあとは車でコーヒー畑や闘牛場ゴリラ岩などを見学。

 

 夜は居酒屋で島の料理を堪能。奄美諸島でしか製造が許可されていない黒糖焼酎を飲んだらその場で瞼が重たくなってくる。しかし黒糖焼酎は本当に美味。

 

 今日の宿泊場所は地区100年以上の古民家。五右衛門風呂もある。幼稚園の頃以来の五右衛門風呂。徳之島は古き日本の温かさとのどかさが残っているそんな島だ。

 

  島で過ごす最後の日は島で行われるオープンウオータースイミングを見に行って奄美群島名物の鶏飯を食べに行くことくらいしか予定もなくのんびり。今日の一番のミッションは帰りのフェリーに遅れないことかもしれない。途中闘牛用の牛が道路脇で寝そべっているのを見たりしながら大会会場に到着。佐多さんに一昨日紹介していただいたトライアスリートの藤野さんも会場に来ている。仲間の補給サポートのために来ているとのこと。彼は翌日3キロの部で3位表彰!

 

 大会は最後まで見ないで自転車を返却しに最初に自転車を開封してみんなで昼食を食べた場所へ。中西さんはそこでこの3日間使った自転車ともう一台の小径車のタンデム自転車の整備。しばらくすると佐多さんたちがオープンウォータースイミングの会場から車で戻ってきて少しここで休んでから鶏飯を食べに徳之島空港の中のレストランへ。15年位前に奄美大島で食べてお以来の鶏飯。鶏のたきこみごはんにだしをかけて食べる素朴な味。わたしは大好き。

 

 食事後は古民家の民泊場所へ戻り五右衛門風呂に入りまったり夕方の船に遅れないようにだけを考える。佐多さんたちが車で迎えに来てくれて少し早めにフェリー乗り場へ向かう。途中佐多さんのコロッケを作っている会社によると藤野さん、幸さんもきていてお土産までいただきみんなで記念撮影。次はいつ来ます?的なこと言われる。結構遠いんですが・・・。

 

 船は定刻通りに着岸佐多さんたちにお別れのあいさつ。忘れ物ないですよねというと、忘れ物あったら次まで置いておくからといわれる。結構遠いんですけど・・・・。子供のころよく行く友達の家のお母さんに普通に帰りにまたおいでといわれる感覚に似ている。島の人懐っこい文化なのかもと勝手に思ってしまう。

 

 

今回は本当に佐多さんはじめいろんな人たちにお世話になって旅を満喫できました。ありがとうございました。

 

 

野村耕一